神社でおなじみの鳥居、注連縄(しめなわ)、紙垂(しで)
神社でおなじみの鳥居、注連縄(しめなわ)、紙垂(しで)

アカ族と日本との不思議な共通点、鳥居

祖先の名を語り継ぐアカ族

アカ族の興味深い風習には、日本と不思議な共通点があります。

アカ族はタイ、ラオス、ミャンマー、中国雲南省にかけて住む少数民族です。
タイへは20世紀初め頃から、雲南省より南下し、現在、標高800m以上の山岳地帯に住んでいます。
焼畑を中心とした農耕生活を営み、質素な暮らしをしています。

信仰はアニミズムで、あらゆる物や自然現象に霊が宿ると考えます。
自然崇拝に加えて祖霊崇拝を重視しており、驚くことに、系譜をたどり、初祖に至るまで60以上もの先祖の名前を暗唱できます。

これを可能にしているのは、アカ族の社会が父系制で、名付けに「父子連結名」を用いていることです。
「父子連結名」とは子供に父親の名前の一部を付けることです。

たとえば、「我が父、家康。家康の父、秀吉。秀吉の父、信長。信長の父……」と続けると、覚えるのは大変です。

一方、「我が父、家康。家康の父、吉家。吉家の父、秀吉。秀吉の父、長秀。長秀の父、信長……」と、名前の一部がつながっていれば、多少覚えやすくなります。

名前と同じように、アカ族は自分の祖先がどこからやってきて、どこに住んでいたかも暗記しており、その語りから移住経路をたどることができます。
特別な儀式や葬式などでこれらは朗唱されます。

また、アカ族の2人が互いの血縁関係を確かめたいときには、それぞれ自分の系譜を唱えます。
祖父の代から始め、曾祖父、曾々祖父……とさかのぼり、互いに共通する先祖が現れるまで続けます。

アカ族は文字を持たない民族ですが、文字の代わりに語り継ぐことによって民族の歴史、伝説を記憶に保存しているのです。

日本の鳥居に似た「精霊の門」

日本との共通点が目を引くのは、村の出入り口に設けられた「門」です。

アカ族では、稲の種まきの始まる毎年4月に、村の出入り口に木造の「門」を作ります。
この「門」は日本人なら誰でも知っている見慣れた「門」です。

垂直に立てた2本の木に、横木を渡した門。
横木は左右の柱から少し突き出し、両端がわずかに反っています。

これらの門には縄が張られています。
そう、神社でおなじみの「鳥居」と「しめ縄」にそっくりなのです。

この「門」には、木製の鳥が数羽載せられています。
日本の「鳥居」は「鳥の居る場所」と書きます。
現在の鳥居には鳥は見かけませんが、「鳥居」の文字でわかるように、そのルーツには鳥との関わりを想像させます。

池上曽根遺跡から出土した木彫りの鳥との共通点

池上曽根遺跡は、大阪府和泉市と泉大津市にまたがる弥生時代の集落遺跡です。
ここから、アカ族の村の門に据えられた鳥とそっくりの木彫りの鳥が出土しています。

腹部に、固定するための穴が開けられているところも共通しています。
古代日本の鳥居には恐らく、鳥が据えられていたのでしょう。

村を守る神聖な門

アカ族のこの鳥居に似た「門」は神聖なもので、村人以外の人間は触れてはなりません。
村人たちは門が完成すると儀礼を執り行い、その後、この門をくぐって村の中に入ります。
天の神が鳥に乗って降りてきて、邪霊や悪鬼を祓い、村人たちを守ってくれると信じられています。

門は毎年新しく作り直されます。
前年に立てた柱のすぐ外側に、新しく設置します。以前の門に使われた木材が次第に朽ちながら残り、村へと続く一種のトンネルのようなものが形成されていきます。
鳥居がトンネルのようにずらりと連なる、伏見稲荷大社の「千本鳥居」のようです。

なぜ幾千キロも離れた日本とアカ族に共通点があるのか?
誰しも疑問に思うはずです。

この謎を調べていくと、興味深い事実と歴史が浮かび上がってきます。
日本人のルーツを考える手がかりにもなる、興味深いテーマです。

話が長くなりますので、そのつながりについては、また別の機会に触れたいと思います。

初掲:2004年7月
加筆修正:2026年10月

コメント(4)

  1. 現在チェンライ郊外の山間部入り口住んでいます
    このあたりは標高は200あるかないかの低地です。近隣にたくさんのアカ族の村があります 800m以上の山間部に住んでいたのは30年以上前のことで 今では町に住んでいる人や高学歴の人もいます。インターネットをやる人も珍しくなくなりました。いつまで伝統が続くのか気がかりになってきています。一部の学校などは意識的に伝統を継承するように教育しています。 民族服を着ない人もたくさんいます。若い世代から文化人類学的な要素が年々薄れていっています。地球の宝が消えていくのは寂しい限りです。

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