クロマニヨンについて

丹羽 郁太

Ikuta Niwa
– CROMAGNON

1997年、長年の目標であった世界一周を叶えるため陸路と航路で西へ向かう。2年2ヵ月後、目標を達成して帰国。訪れ学んだ70余国の文化や歴史の知識を基に2000年クロマニヨン設立。デザイナー兼代表取締役。カレン族シルバーアクセサリーをデザイン。

模様

クロマニヨンは「エスニックアイデンティティ(民族の固有性)」を掲げ、2000年に始動しました。
私が旅の中で見てきた世界には多種多彩な文化を守り続ける民族が存在し、独特の世界観や神話を装身具、布、民族衣装の中で模様や形にして表していました。模様とは人々の願望や祈りの表現です。模様に込められた意味、時を越えて伝わる民族の記憶を識るうちにこうしたものを紹介できる場として世界につながれたインターネットの空間を選びました。この場をクロマニヨンと名づけ現在に至ります。

カレン族シルバー

クロマニヨンの立ち上げからほどなくして出逢ったカレン族シルバーがクロマニヨンの方向性を決定付けました。カレン族はビルマからタイの山岳地帯に住む少数民族です。森に暮らすカレン族は自然に畏敬の念を持って接し、森羅万象あらゆるものに霊魂が宿るというアニミズムの世界観を本質的に残しています。カレン族との交流の中で自然に対する敬虔な気持ちが呼び覚まされ、カレン族のシルバービーズを用いたアクセサリーを自らの手で作り出すようになったのは自然の成り行きであったかもしれません。すぐにカレン族シルバーアクセサリーはクロマニヨンを代表するものとなりました。

アニミズム

そして今、クロマニヨンは新たな局面を迎えています。「アニミズム」をコンセプトにすえ、新たなデザインのアクセサリーやアイテムをデザイナーや伝統工芸技術者の協力のもとに生み出して行きます。
古代人や原始民族の伝統文化の探求から、人間が本来持ち合わせていた自然への憧憬、共感、崇拝の感情をデザインに反映させていきたいと考えています。

物語

クロマニヨンの品に一貫して流れるのは「質へのこだわり」、そしてすべてに「物語」があるということです。手間を惜しまずこだわりを貫き通す事が作り手の息吹を感じさせるものとなり、素材、意匠にまつわるひとつひとつの「物語」が心に共鳴し、愛着の時を刻むものにつながると確信します。クロマニヨンの今後の展開にご期待ください。

山本 博邦

Hirokuni Yamamoto
– Vani Creates

大学でインダストリアルデザインを学び、時計メーカーのインハウスデザイナーとして若者のマーケットを中心とした腕時計や、小型情報機器など、ウェアラブルな製品のプロジェクトに携わる。現「Vani Creates」代表。クロマニヨンとのコラボレーションにより「青銅器の龍」シリーズをデザイン。

時間

絶対的な力で私達の生活を支配しているかのごとく、変化し、流れ続けている時間。時間とはこのように止まることを知らず、常に一定量で物理的に流れ続けるもの。現代に生きる私達の中ではこういった概念を持つことが一般的と言えるでしょう。しかし一方で時間とは、それを感じる人の心理に大きくかかわる側面を持ち、感覚的に常に同じ速度で流れてはいないことを私達は様々な体験から知っています。楽しい時は早く流れ、退屈な時はゆっくりと流れる。場合によっては終点に向かい一直線に流れていく時間や、周期的に循環する時間といったように、様々な時間の流れ方が私達の心の中に存在します。つまり「時間」そのものは人間が心で創造した概念にほかならず、常に変化しているのは事物、あるいは自分そのものと言えなくもありません。

バニシングポイント

過去、未来、そしてその二つを分け隔てる現在というほんの一瞬。事物の変化をある一瞬から眺め客観的にとらえるため、時間という概念が生まれてきたのではないでしょうか。私達は自己の存在ですら、その生涯を時間で測ることで意識できるのかもしれません。私達が手にする様々な製品、これらを使う側の視点、或いは作り出す側の視点に立って見た場合においても時間が大きな意味を持っていると感じています。過去を振り返り、将来を予測する、と言ったように経過する時間と自己の経験を無意識のうちに関連付け、使うモノ、作り出すモノに価値観を与え、生活をより快適に楽しいものにしようとします。

識ること

私はこれまで、主に腕時計という製品を媒体としてとらえ、時間をテーマにしたデザインを提案してきました。時計は全ての人が共通の尺度で時間を計る道具として発明されたものです。しかし、単に道具という範囲を超え、人間の作り出した時間概念そのものをデザインすることは、形や色、使い勝手と言った、表層的なデザインにとどまらない大きな魅力がそこにはあります。太古の人々が時間を神聖なものとして考え、数々の神話やイメージに表現してきたように実に様々な観念が存在してきました。
この人類が創造してきた「時間」を識るということ。これは現代に生きる私達が普段感じることのない意識の根源となる心理を識ることであり、体験することでもあるような気がしてなりません。
今回私はクロマニヨンの考える、太古「アニミズム」の観念を現代に呼び覚まし、私達の無意識下にある普遍的な「元型」を探求していく姿勢に深く共感し、コラボレートに至りました。様々なモノを通じて、人と時間とのかかわり方を感じてもらえるようなデザインをしていきたい。
多忙な現代人にとっては、時間の存在がある種の強迫観念となり、あまり良い印象でないことも否めません。だからこそ私はこの「時間」のパラダイムを少し変えて眺められる、そして心豊かにするモノができたら良いと考えています。