白サギ

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沼の水面も
夕暮れどきには朱に染まる
虫の声と風にそよぐかすかな草の音
一羽の白サギが
その細いつまようじみたいな右足を
つるりと一本溶け込ますと
水面は溶けた金属のように
ゆっくりと ゆさぶりながら
波紋を広げた

オレンジや赤や紫の混ざった薄っぺらい空をバックに
たった一羽で
ゆっくりと ゆっくりと
そんな作業をしている

日の暮れる前のほんのわずかな時間に
オレがバスで通り過ぎる瞬間に
そいつはそんなことをしていやがった

ハッと
オレがあんまり急に振り返ったものだから
となりのおっさんを驚かせてしまった

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