2月の誕生石は「アメジスト(紫水晶)」です。
アメジストは旧約・新約聖書にたびたび登場するほど古い歴史を持つ石です。
『ヨハネ黙示録』の中には、聖なる都、新エルサレムの情景が描かれており、「アメジスト」は城壁の十二の土台石をそれぞれ飾る宝石のひとつとして挙げられています。
神秘的で気品ある紫色のアメジストが古代社会で尊ばれていたことがうかがい知れます。
紫色は洋の東西を問わず高貴な色の代表色でした。

古代中国の紫と身分制度(紫微星・天帝)
古代中国では、官僚の装束を色で区別しており、紫色は最高位の官僚が着用するものとされていました。
天空の中心にありすべての群星が周りを巡る不動の星、北極星を「紫微星」と呼び、古代中国の最高神「天帝」と同一視しました。
この天帝への信仰から紫色が天子(皇帝)の色とされ、天子の皇居は「紫禁城」と称されます。
地中海世界の帝王紫と染料の希少性
古代西洋の地中海沿岸世界では紫はロイヤルパープル(帝王紫)と呼ばれ、高貴な人々にだけ許された禁色でした。
化学染料のない当時、紫色に染めるために巻き貝の分泌液が用いられていました。
小さな貝から取れる染料はごくわずかで、1gの染料を得るために数千個を要し、非常に高価で希少な染料でした。
このことから紫は尊重され、高貴な色として認識されたのかもしれません。
古代日本の冠位十二階と源氏物語
古代日本においては先進国家であった隋の服制を参考に聖徳太子の制定した冠位十二階制の最上位に紫色が充てられています。
こうした制度にとどまらず、物語にも紫色は登場します。
源氏物語の主人公光源氏は山で見初めた幼い少女を「紫の君」と名付け、理想の女性に育て上げました。
紫が特別な色として大切にされてきたことが伝わってきます。
このように紫色はいにしえの時代より高貴な色とされてきました。
アメジストは、その紫を体現する代表的な宝石です。












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