昼寝

菩提樹の下でボーッとする
菩提樹のハッパの隙間から
青空がこぼれる
となりに座るチベットの坊さんからは バター茶の香り

久しぶりの気分になる
ふいに坊さんが お経をあげ始める
アクビをひとつ
思わずほほえむ
おシャカさんも きっとほほえんだだろう
チベットのお経がきこえる
オレはあの人たちの あの深い赤紫色の袈裟が好き
いい色だ

ここは空気の流れが ゆるやかなような気がする
目を閉じてボーッとする
何だか落ち着いた 幸せな気分
昨日からのハラの痛みも消えたような・・・
・・・気がしただけか
ときどき上を向いて言葉を探す
目を閉じると眠ってしまいそう
かろやかに
リスが走ってった
人間臭さがいやだった
そうなるのが怖かった
でも今はちょっと違う
浅ましく泥くさく生きている人達をたくさんみた
自分勝手に
一生懸命
ある種 神々しさを感じた
オレがオレの街でオレの国で感じたことのないものだった それは
となりのチベットの坊さんは 目を閉じ 眉間にシワをよせ 深い瞑想に入った
それか寝てんのか
確かにここは 昼寝すんのにはもってこいの場所だ
オレも 瞑想のふりして
昼寝したい気分になった

さとうりゅうたの軌跡
さとうりゅうた 最初は欧米諸国を旅するが、友人の話がきっかけでアジアに興味を抱く。大学卒業後、働いて資金をつくり、97年4月ユーラシア横断の旅に出る。ユーラシアの西端にたどり着くまでに2年を費やす。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください