チベット人に変装して潜り込め! 雲南省からラサまでヒッチハイクで突破
写真は私が1997年に訪れたチベットの古都ラサにあるポタラ宮です。
白、えんじ、金の3色で彩られ、丘の上に威風堂々とたたずむ姿を初めて見た時、興奮で喜びを隠せなかったのをよく覚えています。
当時、チベット周辺はほとんどが外国人未開放地域でした。未開放地域とは軍事的、政治的理由から外国人に対して入域を許可しない地域です。
外国人がこの地域に立ち入り、見つかると公安(警察)に捕まり、多額の罰金を支払い強制的に退去させられます。
このような未開放地域に潜入し、雲南省からヒッチハイクでチベットのラサに向かうルートがあるというのを知り、若気の至りもあって挑戦することにしました。

ヒッチハイクに必要なもの
潜入するにあたって準備したのは次の3つです。
- 中国語の習得
- チベット風潜入装備
- 大量の軍用携帯食
中国語の習得
中国語は言葉が通じないとヒッチハイクできないため必須です。
第二外国語に中国語を取っていたため多少覚えがあったのですが、あまり実用的ではありませんでした。
山水画で有名な観光地の陽朔を訪れた時、外国人観光客相手にマンツーマンで中国語を教えてくれるところを見つけ、2日間みっちり旅に必要な単語と文章を数百、読み聞き、書き取りしました。
このメモを常に携帯し、何度も何度も暗唱して頭に叩き込みました。
チベット風潜入装備
変装用の服装は一目見て外国人と分かると公安に密告されてしまうため必需品です。
チベットの男性がかぶるつばの広いチベット帽、人民服にも似たカーキ色の軍用コート、バックパックを隠すための穀物を入れるズタ袋を用意しました。
銀河鉄道999の鉄郎のような格好で日本だとかなり浮きますが、現地では顔と正体を隠すのに最適でした。
大量の軍用携帯食
食堂に入ると公安に密告されることがあります。
そのため、まずいカロリーメイトのような軍用携帯食「圧縮乾糧」を大量に購入しました。
水かお茶で流し込まないとパサパサでのどを通っていかない代物ですが、仕方ありません。
実際、道中で知り合った人と食堂で食事していると、公安がやってきました。2回もです。
ラサを目指す
これで準備はすべて整いました。
公共機関のバスで行ける雲南省の最終地点まで行き、そこから先はヒッチハイクでラサを目指します。
順調に行けばラサまでの道のりは約2週間、高度4000m級の山岳地帯をぬって走る未舗装の道を公安の目をかいくぐって進んでいきます。
長くなってしまったのでこの話の続きはまたの機会にします。

この記事は1997年当時の体験をもとに書いたものです。2025年に写真の差し替えや加筆・修正を行いました。









