バリで日本語ガイドの名前が三人とも「ワヤン」だった話

「こんにちは、ワヤンです。さあ車に乗って。」
ガイドが英語で話しかけてきました。

「待ってください。あなたは日本語を話せますか?(英語)」

「ちょっと(日本語)」

前日、銀細工の村へ訪れるのに日本語ガイドを頼んでいたのに、英語で話しかけてきたので尋ねました。

(銀細工の村では、銀細工師にこの村の歴史や文化、製作方法などをインタビューする予定でした。

日常会話程度の英語力では満足なインタビューができないため、日本語ガイドをドライバーといっしょに旅行代理店に予約しておいたのです。

ところが現れたのは日本語がまったくできない英語のガイドだったのです。

車は動き出し、ガイドは英語でしゃべり続けます。

「私の弟は日本人と結婚したよ・・・日本はどこから来たの・・・」

「私は日本語ガイドを頼んだんだ。あなたが日本語を話せないなら、旅行代理店に戻りなさい。」

ガイドの言葉を制して、そう言うと、

「あなたは英語をしゃべるのに、何が問題なんだ?(Any problem?)」と答えました。

車はすでに動き出しており、このままではなし崩し的に事が進んでしまうので、「Big problem! すぐに戻り、日本語ガイドを呼んで来なさい!」と声を荒げました。

「OK、OK、わかったよ」と言った後、ドライバーに戻るよう指示しました。

旅行代理店に戻り、しばらくすると白いバンが前に停まり、乗っていた男が降りてきました。

「こんにちは、ワヤンです。さあ車に乗って。(英語)」

「あなたは日本語を話せますか?(英語)」

「ちょっとだけね(日本語)」
「・・・」

結局この車も最初の旅行代理店に引き返させ、前日に払った金額を返金させました。

それから何軒も旅行代理店をまわり、日本語ガイドを探しました。

ようやく見つかったのは、前に日本人の彼女がいたという元ビーチボーイのガイド。

3人目の彼もまたワヤンと名乗りました。

ちょっとたどたどしいところもありましたが、この際目をつぶることにしました。

いろいろトラブルがあったものの何とか銀細工の村へ出発することとなりました。

インドネシアでは生まれた順番に名前が決まります。
自称日本語ガイドたちは全員長男だったようです。

1番目に生まれた子 ワヤン
2番目に生まれた子 カデッ
3番目に生まれた子 ニョマン

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