ダッカ発ボリシャル行きの船は、途中いくつかの寄港地で乗降を繰り返しボリシャルに至る
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バングラデシュで必ず問われる「母国語は何ですか?」 秘められた愛国心

「What’s your mother tongue?(あなたの母国語は何ですか?)」

バングラデシュの国境で役人に聞かれたときは戸惑いました。

「Japanese」とその場は答えました。

しかし、入国後も何回も同じ質問をされました。

どうも「Where are you from?(どこの国から来たんですか?)」と同じような意味合いで使っているようです。

移動中の暇な時間などに、現地の人と話したり、ガイドブックでバングラデシュの歴史を知るにつれて、この国でのこの言葉の重みがわかってきました。

バングラデシュという国の誕生は母国語であるベンガル語を守るところから始まっているからです。

かいつまんで説明すると、現在のバングラデシュは1947年にインドからパキスタンの一部、東パキスタンとして分離しました。

それから24年後、西パキスタンが国語を西パキスタンの母国語であるウルドゥ語を唯一の国語として定めます。

これに反発、言葉を守るための運動が激しく行われ、1971年に独立を宣言します。

これを抑えようとする西側とのゲリラ戦、インドの介入により、ようやく独立を果たし、「バングラデシュ(ベンガル人の土地)」と名付けます。

バングラシュの国旗は緑地の中央に赤い丸。日本の日の丸にそっくりです。

緑はバングラシュの豊かな緑と預言者ムハンマドのターバンの色を表し、赤は太陽と独立で流された血を意味するそうです。

こうした背景から、「What’s your mother tongue?」という言葉が使われているのだと思います。

バングラデシュの人々は、みな口をそろえて「私たちの国は小さく非常に貧しい。」と言います。

それから続けて「でも美しい緑がある。古い歴史を持っている。」と自分の国のすばらしさを語ります。

自分の産まれた国を愛し、誇りを持っている様子がはっきりと伺えます。

愛国心を持つことの意味と大切さをバングラデシュで私は知りました。

「・・・それで、バングラデシュという国は気に入ったか?」としばらく会話が続いた後に、この質問がやってきます。

「ええ、人はとても親切でやさしいし、自然も美しい・・・でもどこにいってもジロジロ見られる視線と毎日何度も繰り返される質問が私には耐えられないんです・・・」


と精神的に疲れていた当時の私はこう答えるようにしていました。

「そうか、それはすまなかった」と言って悲しそうにしていた顔を思い出す度に心が痛みます。

ココナツ売りの少年 - バングラデシュ

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