
タイにはポッドゥアン(英名:Bullet coin)と呼ばれる貝の形をした古い銀の硬貨があります。古代、貨幣として使われたタカラガイを模しています。
13世紀に栄えたスコータイ王朝より19世紀半ばまで硬貨として使用され続けました。
ポッドゥアンのトップには王朝や国王の刻印などが打たれました。
アユタヤ王朝(14~18世紀)では、王朝のシンボルである8つの花びらを囲む輪―法輪(ダルマチャクラ)が打刻されました。

カレン族の古い時代の装飾品にはこのポッドゥアンを幾重にもつなげたものが見られます。珍しい硬貨や財産となる硬貨を装飾品とするのは世界各地でよく行われています。
カレン族銀細工の村で聞き取りしたところ、カレン族はこの貝形の硬貨も小円が集合した花の刻印もポッドゥアン(パッドゥアと聞こえる)と呼びます。
カレンシルバーは今では多種多様な形、刻印がありますが、私がカレンシルバーに出会った20年前は貝型のポッドゥアンと花の刻印ポッドゥアンが多くを占めていました。
カレン族銀細工の村は皆敬虔な仏教徒です。ポッドゥアンは供物や婚時に使われたと銀細工職人が教えてくれました。
これらのことから、カレンシルバーは古くはポッドゥアンを模するところから始まり、カレン族の生活に根ざした独創性が加わって、世界に愛される「カレンシルバー」として花開いたのでしょう。

ポッドゥアンを用いたネックレス、ブレスレット
丸まった芋虫のようにも見える独特な形をしたシルバービーズはタイの古い貨幣を模したものです。青のビーズは古代より神秘の石とされたラピスラズリ。鮮やかな群青の空を背景に流れる白の雲、きらめく金の星の三色が見事に調和しています。
丸まった芋虫のようにも見える独特な形をしたシルバービーズはタイの古い貨幣を模したものです。黒色のビーズはブラックアゲート。シルバーと黒のモノトーンのデザインはシンプルで、扇状のシルバービーズが美しい曲線のフォルム作り出します。
丸まった芋虫のようにも見える独特な形をしたシルバービーズはタイの古い貨幣を模したものです。ごつごつとしたシルバーの塊が並んだ野生的なデザインはひと際目立つ存在感をはなち、ずっしりとした確かな重量感を感じさせます。
白色のビーズは100~200年程前にヴェネツィアでアフリカ交易用に作られたアンティークビーズです。スカイブルーのビーズはチベットのターコイズ。水色の濃淡が滑らかに溶け合って作り出された色合いは自然の造形の神秘を感じるでしょう。