誕生石の起源は聖書の時代にまではるか遡ります。

この投稿は誕生石に詳しくまとめました。

来月12月の誕生石はラピスラズリとターコイズです。
男性は自分の誕生石を知らない人が多いと思いますが、女性で自分の誕生石を知らないという人はあまりいないでしょう。
プレゼントされたり、自分で購入したりして、誕生石のアクセサリーをひとつふたつは持っていることと思います。
詳しい人であればさらにその宝石の持つ意味なども知っていることでしょう。

ラピスラズリビーズ

1年の12ヵ月に特定の宝石を配し、自分の生まれた月の宝石を身に着けるという習慣は現在では広く浸透しています。
誕生石の起源は聖書の時代にまではるか遡ります。
聖書には宝石についての記述が度々現れます。
ユダヤ人が古代から宝石について関心を寄せ、特別視していたことが伺えます。

特に誕生石に関係の深い有名な記述を2ヵ所あげます。
旧約聖書の「出エジプト記」には、モーゼの兄大祭司アロンが身に着ける胸当てに飾られる12個の宝石が主によって仰せられたと書かれてあります。
新約聖書の「ヨハネ黙示録」では、最後の審判の後に現れる新しい世界の都「新エルサレム」の城壁の土台石は12個の宝石で飾られていたと記載されています。

[出エジプト記 新共同訳28章17~21節]

次に、金、青、紫、緋色の毛糸、および亜麻のより糸を使ってエフォドと同じように、意匠家の描いた模様の、裁きの胸当てを織りなさい。
それは、縦横それぞれ一ゼレトの真四角なものとし、二重にする。
それに宝石を四列に並べて付ける。

第一列 ルビー トパーズ エメラルド
第二列 ざくろ石 サファイア ジャスパー
第三列 オパール めのう 紫水晶
第四列 藍玉 ラピス・ラズリ 碧玉

これらの並べたものを金で縁取りする。
これらの宝石はイスラエルの子らの名を表して十二個あり、それぞれの宝石には、十二部族に従ってそれぞれの名が印章に彫るように彫りつけられている。

[ヨハネ黙示録 新共同訳21章11~14節、18~20節]

都は神の栄光に輝いていた。その輝きは、最高の宝石のようであり、透き通った碧玉のようであった。
都には、高い大きな城壁と十二の門があり、それらの門には十二人の天使がいて、名が刻みつけてあった。イスラエルの子らの十二部族の名であった。
東に三つの門、北に三つの門、南に三つの門、西に三つの門があった。
都の城壁には十二の土台があって、それには小羊の十二使徒の十二の名が刻みつけてあった。

都の城壁は碧玉で築かれ、都は透き通ったガラスのような純金であった
都の城壁の土台石は、あらゆる宝石で飾られていた。
第一の土台石は碧玉、第二はサファイア、第三はめのう、第四はエメラルド、 第五は赤縞めのう、第六は赤めのう、第七はかんらん石、第八は緑柱石、第九は黄玉、第十はひすい、第十一は青玉、第十二は紫水晶であった。

聖書にはこのように頻繁に宝石の名前が登場します。
しかし、これらの宝石名は古代の宝石名と必ずしも一致するわけではありません。
現代では鉱物上分別する宝石でも当時の世界では色彩と外観の相似などによって同一名で呼んだり、時代によって宝石名が変わったりしています。
そのため当時の宝石が現代のどの宝石にあてはまるか見極めることは非常に困難です。

例えばルビーとはラテン語で赤を意味するルベウス(rybeus)が語源で、古代から中世にかけては赤い石の総称でした。
英王室の至宝のひとつである「黒太子のルビー」は今日ルビーと呼ばれる鉱物ではなく、別種のスピネルです。

同じくサファイアもラテン語で青を意味する「sapphirus」が語源です。サファイアとルビーは色が異なるだけで同じコランダムと呼ばれる鉱物ですが、このことが明らかになったのは近年になってからです。
サファイアの産地はセイロン島で非常に希少であるため、聖書の時代にサファイアと呼ばれた石は当時一般的に知られていたラピスラズリであることは間違いないでしょう。

古代、宝石を産する地は主にインドを中心とした東洋でした。
東洋の宝石を西洋へ橋渡ししたのは聖書の時代から宝石に大きな関心を持ち続けたユダヤ人たちでした。
宝石は小さく携帯性に優れています。
商売に長けたユダヤ人にとって少量でも巨富を産む宝石は交易には最適の品であり、また迫害の歴史を持つ彼らにとってはいつでも運び出せる資産価値のあるものでした。

誕生石の習慣はこのような背景をもとに、18世紀のポーランドに移住したユダヤ人の手によって広められたと言われています。
当時のポーランドはユダヤ人に寛容な政策を採っていたためユダヤ人がもっと多い国でした。

誕生石は当初その宝石が属する月にもっとも神秘的力が大きくなるというものだったようです。
これだと宝石の力を1年を通じて享受するためには12種類の宝石を用意する必要しなければならなかっため、次第にその人の誕生月に属する宝石を持つ事によっても同じ効果が得られるというように変化していきました。

18世紀末、ポーランドはロシアなどに分割され地図上から姿を消します。
ポーランドを飲み込んだ19世紀末のロシアで「ポグロム」と呼ばれる反ユダヤ暴動が各地で勃発します。
この災難から逃れるためにユダヤ人たちはロシアを脱出、大挙して新天地アメリカへ押し寄せ、移住します。
この中には宝石業に携わるものも多くいたことでしょう。

1912年にアメリカの宝石業者の間で誕生石を統一することを決めました。
それが▼次の表です。
当時普及し始めてきたダイヤモンドが4月に選定されていますが、ラピスラズリは聖書に何度も登場するほど古代から有名な石にもかかわらず選ばれませんでした。

  日本 アメリカ
1月 ガーネット ガーネット(柘榴石)
2月 アメシスト アメシスト(紫水晶)
3月 アクアマリン
珊瑚
ブラッドストーン(血石)
4月 ダイアモンド ダイアモンド
5月 エメラルド
翡翠
エメラルド
6月 真珠 真珠
7月 ルビー ルビー
8月 ペリドット サードニックス(紅縞瑪瑙)
9月 サファイア サファイア
10月 オパール
トルマリン
オパール
11月 トパーズ トパーズ(黄玉)
12月 ターコイズ
ラピスラズリ
ターコイズ

この表を基準として各国も独自の誕生石を選定、日本では1958年に東洋七宝の珊瑚と翡翠を加えて日本の誕生石としました。

今日の私たちは、宝石の持つ輝きや希少性を装飾品としてまたは財産として利用しています。
しかし古代の人々は、この自然からの贈り物である宝石を神秘的な存在として超自然的な力を備えていると信じ、宝石を身に着けることは護身符的な役割を意味していました。
世界各地で各々の宝石にまつわる伝説、物語は数知れません。

科学が高度に発達した今日、私たちは宝石がいくつかの元素からなる化合物であることを知っています。
宝石の持つ超自然的な力とは単なる迷信であり、非科学的であるとも理解しています。
しかし、自然が産み出した輝きに感動を覚え、魅了されるのは古代人も現代人もあまり変わりないかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です