「眼」は古来より邪なものや災いを見張る文様として護符などに使われてきました。
呪術と祭祀によって統治されていた古代中国、殷の青銅器の文様にはいずれも特徴的な「眼」が付いています。力を宿す眼を表現するためひときわ大きく誇張されました。眼は心を見透かし、威嚇しているように見えます。
「眼」を怖れるのは動物の本能です。フクロウなどの目玉に擬態した羽を持つ蝶は、その模様が捕食者から身を守っています。
「眼」に対する本能的な恐怖は、悪意や羨望の眼差しを向けられた人に不幸や災いをもたらす原因を「眼」と結びつけ、「邪眼」として信じ、怖れました。
「邪眼」を退け、「邪眼」に対抗できる力を持つのもまた「眼」でした。「眼」を表現したビーズは新石器時代にまで遡り、魔力を秘めた「眼」を身に着けお守りとする風習は現在も世界各地で見られます。
古代の青銅器に現われる原初の龍をテーマにしたシルバーリング。古代王朝「殷」、殷人は祭礼用青銅器の器面に想像力を駆使し、龍を含む神々の姿を創造しました。古代人の想像力から造られた龍の姿は一様ではなく、この時代様々な「龍」的姿形が存在しました。
正視する「龍」の顔が浮き出した極太なフォルム。流麗な文様は側面から裏側にまで回りこみ、視点を変えると二頭の龍が鼻梁で頭を突きあわせた姿形が見えてきます。誇張された奇怪な文様は邪悪なものに打ち勝つための強大な力の象徴です。
邪なものや災いを見張る護身符の「眼」が打ち込まれた細身で甲丸のカレンシルバー バングル。「眼」への怖れから、災いをもたらす「邪眼」への畏怖が生まれ、「邪眼」に対抗できる力を持つのもまた「眼」でした。お守りとして肌身離さず着けていたいバングルです。
始まりと終わりが互いに向き合い、螺旋でありながら円環でもある平打ちのカレンシルバー リング。くまなく打ち込まれた「眼」の刻印は四方八方に目を光らせ、邪悪なものを跳ね返すのに十分な力を感じさせてくれます。