Feb22
カレン族シルバー製作風景
カレン族の手仕事
カレン族シルバーアクセサリーはすべてカレン族の手仕事によるもので、小さなビーズのひとつひとつにいたるまで丹念に作られる。
直径1mm、長さ2mmほどの極小シルバービーズを手に取り目に近づけてみると、きっと驚くに違いない。
その小さなビーズにはさらに小さな直径1mmにも満たないカレン族の刻印が2つも押されている。
根気のいる作業と要する時間を思うと気が遠くなりそうだ。
カレン族の銀細工の村に足を踏み入れると、コンコンと槌を打つ音が絶え間なく四方から聞こえてくる。
村の周りの静けさとは対照的に、ここでは人の活気を音で感じられる。
音のする方へ近づくと、高床式の家の影になった床下で何人かで集まって黙々と作業を繰り返しているのが見られる。男性もいるが女性の方が圧倒的に多い。
まだ幼い面影を残した少女たちが、大人に混じって小さな木槌を振り上げている。もっと幼い子供たちはできあがったビーズを糸に通す簡単な作業を任されているようだ。
白の民族衣装を着ているところを見るとまだ結婚前の少女たちであることがわかる。
この銀細工の村ではどの家庭も何らかの銀細工の仕事に携わっている。赤ん坊の頃から作業する親を見て育ち、少し大きくなって親や兄弟からやり方を学び、銀細工の作業を担っていく。こうしてカレン族伝統の技術は親から子へと受け継がれていく。
カレン族シルバーの工程
初めは粒状だった純銀からカレン族の刻印が押されたひとつのビーズになるまでにはいくつかの工程と何人かの手を経て完成にいたる。
- シルバーはそれ自身では非常に柔らかすぎてアクセサリーなどの加工に向かない。
そのため、耐久性や強度を補う目的でごく少量の銅が加えられる。 -
容器に入れられたシルバーはオレンジ色の液状になるまで溶かし熱された後、長方形の鋳型に流し込まれる。
冷却するためシルバーを流し込まれた鋳型が水を張った水槽の中へ突っ込まれると、水は激しい音とともに気化し、あたりは水蒸気の白い煙で満たされる。
煙が消え去った後、水槽の中から銀色の塊が現れる。 - 塊を鋳型から取り出し、完全に冷め切ったら、次の作業に取りかかる。
大小の穴が順番に並んだ金属製の形板を用意し、塊をプレス機に入れ、最初は形板の大きな円を通して細長く引き伸ばし紐状にする。 - これを再びプレス機に入れ、今度はやや小さめの円に通して先ほどより少し細めの紐を作る。
順に円を小さくしながらこの作業を何度も繰り返し、必要な太さになるまで続ける。 - こうしてできあがったシルバーの紐は束ねられ、次の作業を静かに待つ。
- カレン族の刻印は先端に刻印の凹凸がある鉄製の棒を金槌で打ち付けることによって刻みこまれる。
刻印のひとつひとつには意味があり、大小さまざまである。
打ち付ける力の強さ、熟練の度合い、先端の磨耗具合などによって刻印は微妙に異なってくる。 -
刻印を押しただけでは凹みが確認できるだけで、あの美しい紋様を見ることはできない。
紋様を浮かび上がらせるために、黒化(硫化)液が用いられる。 - シルバーは硫黄成分に触れると化学反応を起こし、表面に黒い化合物が付着する。
この性質を利用して陰影をつけ、紋様を際立たせる。
その手順はまずシルバーに琥珀色の黒化液を塗って乾燥させた後、次にスポンジで黒化したシルバーを磨く。
すると凹凸の凸の部分の黒い化合物が取れて、凹の部分のみが黒く沈着する。
こうして刻印された紋様がくっきりと現れるのである。 - 半円球形や円球形のビーズを作るには大小さまざまな窪みを持つブロンズの台が使われる。
まずシルバーのパーツをくぼみの上に置き、次に先端がなめらかな丸みを帯びた鉄棒を垂直にあてがい、金槌で打ち付ける。
これによってシルバーパーツはくぼみの形にあわせて変形し、平面形のパーツがなめらかなカーブを描いた立体型に生まれ変わる。 - 1個の円球形のビーズを作る場合は、上の手順で作られた同じ大きさの半円球形のパーツ2つが使われる。
ピンセット状のもので2つのパーツを向かい合わせに固定し、バナーで熱を加え溶接(銀蝋接合)する。
溶接した後、接合部をなめらかにして完成である。 - 刻印の押されたシルバーパーツを均等のサイズのビーズにするにはひとつひとつ手作業で行われる。
先の尖った細い針金状の鉄棒で軽く円筒状に曲げられたシルバーパーツをすくい取り、鉄棒に刺したまま溝の入った鉄製の台に置く。
この上に、四角の鉄製または木製の重しをかぶせ、シルバーパーツを溝の上で転がし、何度も往復させる。
これによってパーツはきれいな円筒状になり、ビーズが完成する。
また溝の形によってビーズの両端はすぼまったり、くぼみがつけられたりする。 - このようにひとつひとつ丹念に作られたビーズを糸に通してすべての工程が完了である。











