カレン族シルバーの村で学んだ黒化方法
カレン族シルバーの持ち味には、温かみのある質感、無骨で荒削りの形状、そして黒化仕上げで浮き出す刻印などがあります。
カレン族シルバーアクセサリーを長い間身に着けていると、擦れたりして黒化部分が次第に薄れていきます。
このような場合や、刻印部分にもっと陰影を付けたいという場合の黒化方法をカレン族シルバーの村で学んできましたのでご紹介します。
どこの家庭にでもあるような簡単な道具を使い、数分で完了しますのでぜひ試してみてください。
用意するもの
- 黒化するシルバー
- 綿棒
- スチールウール※できるだけ目の細かいもの
- 塩素系漂白剤※塩素系なら何でもOK
黒化前の比較
次の写真をご覧ください。左側は黒化部分が薄れてしまっているカレン族シルバービーズ、右が通常のものです。
漂白剤を付ける
綿棒に漂白剤を少し付けて、黒化したい部分だけに少しづつ塗ってください。※黒化しすぎないよう十分注意し、目立たないところで試してみてから行ってください。
漂白剤塗付後10秒経過
漂白剤を塗るとすぐに茶色に変色し、次第に黒くなります。日光にあてると変色が早くなり、時間が経つほどに黒さを増していきます。
漂漂白剤塗付後5分経過
完全に真っ黒になりました。
スチールウールで研磨
スチールウールでやさしくなでるようにこすってください。
研磨終了後の比較
黒化前に比較したシルバーを右側に置くと黒化により陰影が濃くなったのがわかります。
黒化前の比較写真と比べるとその違いは歴然としています。
カレン族シルバーの村では
一つ一つこのように作業すると大変な手間になりますので、カレン族シルバーの村では研磨するのに機械を用います。
研磨剤に使われているのは何と「もみ殻」です。
もみ殻とシルバーが入ったドラム部分が回転し、もみ殻とシルバーが擦れあって研磨する仕組みです。
化学反応
シルバーが黒化するのは大きく分けて硫化反応と塩化反応があります。
シルバーをほったらかしにしておいたら茶色くなっていた、温泉に入ったら青黒くなってしまったというのは硫化反応です。
自動車の排気ガスや工場から排出されるガスには亜硫酸ガスが含まれており、この硫黄分にシルバーが硫化反応して茶色/黒に変色します。
水仕事で漂白剤を使ったり、Yシャツのポケットにシルバーアクセサリー入れたままにして漂白剤で洗濯したら真っ黒になってしまったというのは塩化反応です。
漂白剤に含まれる塩素と銀が反応して茶色/黒に変色します。塩化銀は光にあたると黒化が進む性質を持っています。
フィルムカメラを銀塩カメラと呼ぶのはこの塩化銀の特性を感光剤に用いたことに由来しています。
お手入れ
鉄は酸化により錆びて腐食し、ボロボロに崩れていきますが、シルバーは塩化/硫化によって腐食することはありません。
塩化/硫化部分が薄い皮膜となってシルバーを覆っているだけですので、擦れば元のように輝き出します。
錆びにくくほとんど変色しない金やプラチナと違ってシルバーは手間のかかる金属ですが、これこそがシルバーの味わいであり、手入れをするほどに愛着の増す品となることでしょう。