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Nov10

ガーネット「深紅の結晶」

もっとも古い時代の宝石

ガーネット結晶ガーネット結晶

ガーネット、和名「柘榴石」。

天然のままで美しい赤色と、12面体や24面体の球状に近い結晶を持ち、もっとも古い時代から宝石のひとつとして使われてきた。
岩の割れ目の中に輝くガーネットの赤い粒は古代人の心を引き付けたに違いない。

ガーネットの名はラテン語の「granum(種子、殻粒)」から派生したgranatum(多くの種子をもったもの=柘榴)から来ている。
グラニュー糖(granulated sugar)やスペインの都市グラナダ(Granada※スペイン語で柘榴の意)もこの派生語のひとつである。

この石の色が柘榴の実のように赤いことから柘榴石と呼ばれ、深紅のガーネットはしばしばルビーと混同されることもあった。

ガーネットの歴史と盛衰

ガーネットビーズガーネットビーズ

ガーネットの歴史は古くまで遡り、多彩な伝説に満ち、様々な物語の中で語られている。

ユダヤ人の伝説によると、ガーネットは、四十日四十夜続いた大洪水の中、ノアの箱舟で灯火の役目を果たし、暗闇に明かりをもたらしたと言われている。

中世の十字軍の兵士たちは、戦場に赴くときにはガーネットを身に着けたとある歴史書は言う。
ガーネットの持つ深紅の輝きは血を連想し、ガーネットを持っていると傷を受けないと信じられていたからだ。

19世紀の英国ビクトリア朝時代、ガーネットは宝飾品として最盛期を迎えた。
当時、チェコにはガーネットを大量に産出する産地があり、ガーネットに金の台座を合わせた豪華で華やかな宝飾品が人気を博した。
ちょうどゴールドラッシュの時代と重なり、金も手に入りやすくなっていた時だった。
博物館に陳列された数々のガーネットと金の宝飾品を見ると往時の人気ぶりが容易に想像できる。

しかし、20世紀に入り、スリランカやブラジル、アフリカなどからもっと色の美しい宝石が手軽に入るようになったため、ガーネットの人気は衰え、次第に忘れ去られていく。

現代では、ガーネットは1月の誕生石として、持ち主に変わりのない愛情を保証する宝石とされている。

豊富な色彩

グリーンガーネットグリーンガーネット

ガーネットの色は赤色だけではない。黄、オレンジ、緑、紫など多様な色があり、とても華やかな石である。

実はガーネットとは1種類の鉱物、宝石を指しているのではなく、多様な化学組成からなる鉱物をまとめたグループ名なのである。
産地や化学組成、生成の仕方によって多種多様な色が存在する。

時には第一級の宝石にも劣らない輝きを持つものがありながらも、多産することから宝石として高い評価はされてこなかった。

しかし、近年になって新しい化学組成のガーネットが次々に発見され、希少性のある色の美しいものは価値を見直されているようである。

ダイヤモンドの指標

ガーネット結晶ガーネット結晶

ガーネットには宝石としての価値以外にもうひとつ興味深い話がある。

アリゾナ州、ナバホ族居住区。

ここにはアントヒルガーネット(蟻塚)と呼ばれる面白い名前のガーネットが存在する。

風化した岩と砂が延々と広がるこの地域のある種の蟻は蟻塚を作る。
彼らは地中を掘り進み土を地上に運んで巣を作るが、このときに邪魔になった地中のガーネットを巣の入り口に捨てる。
当然蟻が運べるものなので豆粒より小さなものだ。
これがアントヒルガーネットとして売られている。

ガーネットは超高温、超高圧の条件下で生成される鉱物である。
これと同じような条件で生成される鉱物がある。宝石の王、ダイヤモンドである。
ダイヤモンド鉱床の中でガーネットはよくダイヤモンドといっしょに見つかる。
時にはダイヤモンド結晶の中に含まれていることもある。
したがってダイヤモンド鉱脈を探す時にガーネットはしばしばその指標として利用されることがある。

アフリカのボツワナの砂漠で、ダイヤモンド鉱脈を調査していたデ・ビアス社はダイヤモンド探索の有効な調査方法として闇雲に地面を掘り返すのではなく、蟻塚に目をつけた。

蟻たちは地中深くに穴を掘り、地下の土を地上まで運んでくる。
巣作りに邪魔な鉱物は巣の周りに捨てるため、蟻塚の土にもしガーネットが含まれていれば、そこはダイヤモンド鉱脈の可能性があると考えたのだ。

この推測を元に蟻塚の土壌を丹念に調べ続け、見事砂漠の中の眠っていたダイヤモンド鉱脈を発見したそうである。

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