ポスター。 壁にはる、あれである。 パキスタン、ヤスィーンの村。 絵葉書を書いた私は、泊めてもらっている家のムハンマドに郵便局に連れていってもらった。 ポツポツとしか家のない村である。 郵便局などあるのだろうかと、付いてゆくと、一件の民家に連れられていった。 ムハンマドが家のおじいさんに声をかけると、大きな錠のかかった物置を開けてくれた。 これが郵便局だと...
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2年前の話。 私は、ある町の安宿のロビーで、ここの息子と話をしていた。 彼は、へそだしホットパンツ姿の日本人女性を見たと言う。 私は驚いた。 かなりのチャレンジャーだ。 ここP国では男女関係なく犯されると、日本人男性バックパッカーでさえ襲われることを恐れ、髭をはやす人が多いというのに、(ちなみに、私はこのとき2ヶ月髭を生やしたまま、旅をしていた)その女性はい...
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私にとってキプロスのそれは、最悪だった。 ギリシャ、ロードス島からキプロスに船で入国しようとすると、出港前に船のなかで入国審査を行うことになっている。 私は2番目に並びながら、結局いちばん最後にまわされた。 キプロスの警察官は、私のパスポートを手にしながら、名前、生年月日、所持金、なぜ色々な国に行っているのかなどを聞いてくる。 サインも何度か書かされた。 私...
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リングモ村のとあるロッジ。 私は、ホットレモンを飲みながら、ロッジのダイニングで、バンソンの旅の話を聞いている。 バンソンはフランス人、彼は、アフリカのニジェールに行ったことがあるという。 「へえ」 私は感心する。 彼は首都のニアメーに降りた後、ガイドをひとり雇い、彼にお金を預けて、市でラクダを買わせたと言う。 「僕が直接ラクダを買ったら、ラクダ商人にぼられ...
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ネパール。 交通手段が、徒歩以外は馬、牛、ロバしかないところ。 その宿は、森の中に一件だけ、ポツンと建っていた。 「この宿に泊まるのか」 夕暮れ時、ほったて小屋のような宿を前に、私はこの森の中で知りあったポーターと、合わせた両手を頬のあて、ゼスチャーで会話する。 彼は英語ができない。私にそうだ、とゼスチャーで返す。 「君はどうするのだ」 とゼスチャーで尋ねる...
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「カトマンズは車が多く、空気が汚れている。そのため私は健康を害した」 と主人は思い出すように話す。 「私は毎日のように病院に通い、薬を飲んでいた」 スイス人女性と私は聞き入っている。 「ある日、私は大学を辞めた」 「収入は良かったのでしょう」 とスイス人女性が聞く。 「確かに良かった。しかし、収入より身体が大切だと思った」 隣村のジュンベシは奥さんの故郷だと...
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ネパール、カトマンズ。 クマリ館の東隣にある大広場には、たくさんのおみやげ屋が店を開いている。クマリ館の東隣にある大広場店を開いている。 おみやげ屋といっても店舗を持っているわけではなく、広場に板をひき、その上に色々なおみやげを並べて売っている。 店の数は30を下らない。 それだけ店があると、ひまな店が出てくる。 いや、一日のほとんどを彼らはひましている。 ...
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ロシャンの家の家族構成は、父、母、ロシャン、奥さん、子どもの5人である。 奥さんは若い。というより幼い。 歳を尋ねると16だという。 聞くと、彼女が13歳のとき、ロシャンと結婚したという。 13歳で結婚。私は驚いた。 ネパールの法律にも、結婚をするには年齢制限があり、奥さんの結婚当時の歳は当然ひっかかるのだが、世間ではそんなことお構いなしに結婚してしまうらし...
続きを読む "おみやげ屋2" »
一通の暑中見舞が届いた。 以前、イタリアのナポリで知りあった女性からのものだった。 彼女は、夏休みをとって、友人たちと2週間ほどイタリアを旅行したとある。 絵葉書の縁にこう書いてあった。 Mのピザもあいかわらずうまかった! Mは、ナポリでおいしくて有名な、ピッツェリアの名前である。 私はナポリで会った学生さんに、ピザではなく、ピッツァだと教えられた。 だから...
続きを読む "チップ1" »
注文は、と聞かれ、何があるの、と尋ねる。 「マルゲリータとマリナーラ」 Mには、この2種類しかない。 よほど味に自信があるのだろう。 私は、マルゲリータを注文する。 私の目の前で、店員さんがピッツァの生地をくるくる回す。 生地が出来ると、刻んだトマトをのせる。 チーズをぱらぱらと振り、バジルをのせる。 オリーブ油をかけたら、あとは釜で焼くだけ。 簡単だ。見て...
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新聞やTVのニュース、ガイドブックなどで、私はおとずれたことのない海外の国々をイメージしてみたりする。 それらの国々を旅する前は、日本で仕入れられる情報だけで、私はその国を理解しているつもりでいた。 しかし、それらの国々を旅してみると、イメージと違う現実にぶつかることが多々ある。 もちろん、私以外の旅行者も。 エジプト、ダハブの町。 アカバ湾に面するこの町の...
続きを読む "固定観念" »
ネパール、カトマンズ。 アジア横断の旅を目指す旅行者が私に教えてくれた。 「インド、パキスタン間の国境は最悪らしいですよ」 どのように最悪かと聞くと、国境警備の係員に持ち金をだまし取られるという。 その後も、私は何度か同じ話を聞いた。 日本の場合、出入国の管理官が旅行者の財産を狙うことはあまりないが、アジアでは公務員の特権とばかりに、それを行う者は少なくな...
続きを読む "ボーダー1" »
金を渡してしまったら、もちろん返ってはこない。 取られてたまるか、と思った私は、「なぜだ」 と尋ねる。 係員は、「おまえ達は書き忘れというミスを犯した。それはおまえ達の責任だ」 だからパキスタンルピーを出せ、と言う。 そんなバカな話があるか。 「おまえ達インド人の係員が、書く必要がない、と言ったから私は書かなかったのだ。ミスを犯したのはおまえ達の方だ」 と私...
続きを読む "ボーダー2" »
確か、ミシュランの道路地図だったと思う。 イスラエル周辺国の人間に見られることを意識してか、中東地域のその地図には、イスラエルの国名は無く、パレスチナと書いてあった。 イスラエルはユダヤ人の言う国名、パレスチナはパレスチナ人、アラブ人が呼ぶ地域(国)名である。 この二つの名は同じ場所をさしている。 この両者の確執を説明しようとすれば、紀元前二千年までさかのぼ...
続きを読む "パレスチナ1" »
「24時間の外出禁止令ですか」 聞くと、先日の爆弾テロで8人の死亡者が出たために出されたとのことだ。 私は二人のパレスチナ人の老夫婦がこちらに歩いてくるのを見つけた。 「外出しているじゃないですか」 24時間といっても、一日のうち買い物などに必要な1?2時間は許可が出ているという。 しかし、仕事などには行けないとのことだ。 「だから、ここを離れる人が多いわ」...
続きを読む "パレスチナ2" »
私たちはモスクの近くにある、市場に向かった。 狭い路地にある市場はどこも閉まっている。 もう長い間、商売はしていないようだ。 道端には石やゴミが散乱し、頭上に張られたネットには石が載っている。 聞くと、このネットは投石を防ぐためのものだという。 ユダヤ人に向かって石を投げるパレスチナ人しかTVで見たことのない私は、初めパレスチナ人が投石したのかと思った。 が...
続きを読む "パレスチナ3" »
Aさんは、私たちにひとりのタクシー運転手を紹介してくれた。 彼は、モスクでユダヤ人青年が銃を乱射したとき、その場にいたという。 腰のあたりを撃たれ、いまでも立つことはできないようだ。 ひとりではタクシーから乗り降りするのも難しいという。 彼は、撃たれた後の入院生活から、タクシーの運転手になるまでの話を聞かせてくれた。 Aさんが彼の話を英訳してくれる。 彼は数...
続きを読む "パレスチナ4" »
ネパールでは、日本人女性とネパール人男性のカップルが、年間100組ほど結婚するという。 さらに多い年は、200組を越えるという。 カトマンズのタメル、ジョッチェン辺りを歩いていると、良くその組み合わせを見る。 たまにひとりで歩いている女性に、一緒に食事でもと声をかけると、ほとんどの女性に約束があるからと断られる。 約束の相手はもちろんネパール人男性だ。 ...
続きを読む "ネパール人との結婚" »
偶然の必然性について昔から考えていた。 旅をしていて、もっと考えるようになった。 きっとぼく以外の人も、旅をすればそう考えるようになると思う。 偶然は必ずしも偶然ではなく、必然は必ずしも必然ではないということ。 例えばぼくが旅をしたての頃、タイのバンコクである女の子を病院につれていった 右も左も分からんときで、無事彼女を送り届けたときには、ひとまわり大きくな...
続きを読む "偶然と必然" »
初めて彼女に出会ったのは、ネパール、リングモの宿だった。 前日洗った洗濯物が乾かず、私はひとりきりのドミトリーに二泊することになった。 夕方、ドタドタと階段をのぼってくる足音が聞こえると、二人の欧米人の女性がバックパックを背負ったまま、ベッドに倒れこんだ。 「疲れたぁ」 「死ぬう」 ――ずいぶんにぎやかなトレッカーだな。 寝袋にくるまって、ベッドに寝転んでい...
続きを読む "チョコレート1" »
翌朝、私はこの日も一番後に宿を出た。 レイケたちに追いつき追いこす。 後ろからレイケが何か叫んでいる。 振り向くと、レイケが違う道を指さしている。 どうやら道を間違えたようだ。 いま来た道をもどってゆく。 方向音痴な私は、よく道に迷う。 一度などは、目的地まで半日で行けるところを道に迷い、到着したのが翌日の昼だったこともあった。 「ありがとう」 私はレイケに...
続きを読む "チョコレート2" »