05Dec09
チャラスでキマッていた所に突然強いアルコールを流し込んだせいか、智は、再び目の
前がフラフラし始めてきた。体全体に一気にアルコールが回ったようだ。まるで魚眼レン
ズで覗いたみたいに全ての物が丸く見え、耳に入って来る音といえば全てが反響して混ざ
り合い、一体何が何なのか全く分からない。しかしそれは智に限ったことではないらしく、
周りを見渡すとババを始め、多くの男達はしたたか酔っ払っているようだった。...
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10Dec09
一希は、テーブルの上に散らばったヘロインの粉を掻き集めて鼻から吸い込んでいる。
その様子をぼんやりと智は眺めていた。心路は、欠伸をしながら智の顔を見つめている。
「どうしたの、智、その顔。ひょっとして、またやられた? あいつらに」
心路は、そう言いながら灰皿の上に乗せられたジョイントを手に取ると、ゆっくりとそ
れを口に運んだ。
「え? いや……、これは、違うんだ……。前にやられた時の傷が、まだ治...
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15Dec09
――― 理見は、最後に俺の部屋へ来たあの時、まだ一希とやってはいなかったのだ。
てっきりもう一希とはそういう関係になっているものとばかり思っていたのに……。それ
が、自分がブラウンを吸わせたばっかりにそれを手助けすることになってしまって……。
あの日、微笑みながらジャイサルメールの雑踏に姿を消した理見……。俺の頬をそっと撫
でてくれたときの理見のあの表情、冷たい指先……。それら全ての美しい思い出...
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20Dec09
「ヤァ、サトシ。どうよ、キマッた? ハハハハハァ」
智の頬を軽く叩きながら一希は智の横に座り込んだ。そして智の肩に手を回すと、顔を
覗き込んだ。切れそうに冷たい視線が智を見つめている。すると突然、一希は、智の唇に
唇を押し付けた。智は驚いて声も出ない。必死に振りほどこうとするが、体を離すことが
できない。一希の舌が智の口の中を激しく掻き回す。何故か脳裏に岳志の笑った顔が浮か
んできた。
「ああ、...
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25Dec09
心路の宿泊している宿には、日本人ばかりが五六人宿泊していた。大体がゴアからパー
ティを追って流れてきた旅人達だ。智が知っている者も何人かいた。しかし、そもそもこ
のオールド・マナリーという小さな村全体が、ほぼ、ゴアにいた人間で占められているた
め、智は、心路の宿の人間だけでなく、この村に滞在しているツーリストの殆どの顔を知
っていた。話をしたことはなくとも、少なくとも顔ぐらいは見たことがあった。ゴ...
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30Dec09
「サトシ、サトシ」
ウトウトしかけている智に、心路が、巻き上がったジョイントを差し出しながら声をか
けた。我に返って智はそれを受け取った。
「ああ、ごめんごめん。あんまり気持ち良かったんでつい……」
心路は、軽く智に微笑みかけた。
「しかし、あれだね。デリーではあんなに憎らしく思っていた太陽が、ここではこんなに
清々しいものに変わってしまうなんて。同じインドとは思えないよね。本当に」
そう言...
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