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ライブラリ-2009年09月

05Sep09

さっぱりとした男らしい強さ

岳志という人間は、まるで自分から危険に飛び込んで行くのを楽しんでいるようなタイ プの人間だ。更に、それこそが人生における最大の楽しみなのだと認識しているようでも あった。とりあえず、目の前に現われた事象は全てチャレンジしてみる。例えそれが危険 を孕んでいようとも決して臆することはない。楽しみながら飛び込んで行く。一方智は、 まず危険に重点を置いてしまう。これをやってこうなったらどうしようだとか、そ...

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10Sep09

人を疑う癖

智がマニカラン・コーヒーショップに着いたのは、いつものように昼を過ぎた頃だった。 岳志もまた、いつものようにジョイントを巻いており、アナンも、そんな岳志をじっと眺 めていた。智が入っていくと、岳志は、智の方を振り返ってにっこりと微笑んだ。 「よう、サトシ。相変わらずゆっくりだね」  岳志がそう言うと、アナンも智を見て笑顔で、ハイ、と声をかけた。  「ええ、まあ……。どうしても朝は起きられなくって…...

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15Sep09

疑念が確信に

目のきれいな人になら、智は今まで何人も出会ったことがあった。しかし、岳志のよう な目をした人に出会ったことは一度もなかった。一見清々しいその瞳の輝きは、見る者に この世の明るさや美しさだけを感じさせるのだろうが、智は、その瞳の奥に潜む果てしな い暗さのようなものの存在を敏感に感じとっていた。それは、心に同じ暗闇を持つ者同士 だけが分かり合うことのできる、暗号のようなものなのかも知れなかった。欠落し...

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20Sep09

レイヴァー

「四五年前かな? まだゴアが今みたいにきちんとしてなくって、もっとぐっちゃぐちゃ だった時。俺、すっごくトランスにハマッててさ。ゴアのシーズンが終わると、やっぱり みんなみたいにレイヴを追いかけてマナリーまでやって来たんだ。その時アナンと初めて 知り会ったんだけど……」 「えっ、岳志さん、レイヴァーだったんですか?」  智は、今の岳志の落ち着いた様子からは岳志がパーティーで踊り狂ってる所など想像も...

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25Sep09

どんなに頑張っても

「その時のゴアは、かかってる曲もトランスからロックからレゲェから、何でもあったし、 そこにいる奴らのファッションだって本当に多種多様だった。だからDJや会場によって 雰囲気が全然変わるんだ。踊ってる奴らも色んな国の奴がいてさ。まあ、欧米人が殆どな んだけど、日本人は数えるぐらいしかいなかったかな。皆好き勝手やってて、今みたいに あんまりベタベタしてなかったんだよ。皆同じものを聴いて、同じものを目指...

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30Sep09

注射針

岳志は、チャラスの味を噛み締めるように、ゆっくりと煙を呑み込みながらそう言った。 「俺は、その時まだヘロインをやったことがなかったんだ。ヘロインっていえばドラッグ の王様みたいなものじゃない? だからその時の俺は、どうしてもヘロインがやってみた かったんだ。いや、やらない訳にはいかなかったんだ。最高の物を知らずに、ドラッグや ってる、なんて言えないと思ってたからさ。でも、この辺りじゃヘロインなんて...

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