05Jun09
月明かりに助けられ、智はようやくマニカラン・コーヒーショップに辿り着いた。暗闇
の中で、その建物だけは明るく光を灯していた。店の中にある人の気配に、何故だか智は
安堵する。中に入ってみると、店の中はたくさんのインド人で溢れ返っていて、それはま
るでパーティでも開かれているような光景だった。その中に、何とか岳志の姿を見つける
と、智は、手を振りながら岳志の名を呼んだ。
「タケシさん!」
岳志は、声...
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10Jun09
岳志が指を差したその先では、控えめそうな若い二人がはにかみながらこちらの様子を
窺っていた。彼らは、どうもあまり英語が話せない様子で、こちらの方には近寄ってこよ
うとしない。代わりにアナンが岳志と彼らの間を行ったり来たりしていた。
「ほら、まず試してみなよ」
そう言いながら岳志は、チラムを取り出して智に手渡したのだが、智がいざそれを手に
取ってみると、何と、そのチラムはクリスタルでできていた。智...
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15Jun09
翌朝、岳志が智の部屋の扉をノックした。智は、昨晩のチャラスのおかげでぐっすりと
眠りこけており全くその音に気が付かなかったのだが、岳志がしつこく何度も扉を鳴らし
続けるので、ようやくそれに気が付いて目を覚ました。岳志は、起きたばかりの智の寝呆
けた表情を見て笑いながら、昨日は突然いなくなっちまったからびっくりして慌てて俺も
帰ってきたんだぜ、と智に言ったが、智は、ぼんやりとした様子で、はあ、すみま...
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20Jun09
「よく千ルピー札なんて持ってたね」
岳志が、二人のやりとりの様子を眺めながらそう言った。
「たまたまですよ。デリーで荷物を日本に送ったときにちょっと多めにお金が必要だった
んで、千ルピー札で両替えしてもらったんです。それがまだ何枚か残っていて……。でも、
僕もその時が初めてでしたよ。千ルピー札を見るのなんて」
岳志は、テーブルの上のそのお札を手に取ると、珍しそうに眺め回した。
「そうだよね。イ...
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25Jun09
岳志がそう言うのを聞いて、智は少し安心してジョイントに火をつけた。
「それと、智。後、もうワン・トラずつあるらしいんだけど、どう?」
岳志のその言葉に、智は、自分が吐き出した煙を煙たそうに手で仰ぎながらこう言った。
「えっ、まだあるんですか? もうワン・トラって言ったらさっきのと合わせてツー・ト
ラで、全部で二十グラムってことですよね? でも、俺、お金そんなに持ってる訳じゃな
いし、もう七百五十...
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