05Dec08
「ううぁ、ううぅぁああ、うあっ、うあっ、うあっ……」
喉の奥から絞り出されるような呻き声が、智の口から止めどなく発せられる。智はその
まま真後ろに倒れ込んだ。天井を見ている視界が、どんどん狭まっていく。まるでそれは
魚眼レンズを覗いているような光景だった。視界はそのまま、どんどんどんどん小さくな
っていき、最終的には小さな光の点になってしまった。口は大きく開け放たれたまま、目
は開いているのか閉...
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10Dec08
智はようやく目を覚ました。とても立ち上がれるような状態ではなかったが、何とか体
を起こして、壁にもたれかかった。直規と心路の二人はピクリとも動かない。
智は、何となく煙草が吸いたくなって、どこかに煙草が無いだろうか、と、辺りを見回
し始めた。するとそれはテーブルの上で簡単に発見された。直規か心路のものだろうが、
断わりもせずに勝手に一本抜き取った。それはインド煙草よりも十倍ぐらい高いアメリカ
製...
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15Dec08
しばらくすると、心路がそわそわし始めた。
「何か、匂わない?」
心路がそう言うのを聞いて智は顔を上げた。
「えっ、何?」
「何かさ、焦げたような匂いがしない?」
心路は、しきりに辺りを見回している。
「そうかな? 俺は特に何にも感じないけど」
「あっ、直規くんだよ! 直規くん! 直規くん!」
心路は、そう言いながら慌てて直規の体を揺さぶった。直規は、何だよ、と言って面倒
臭そうに心路の方を振...
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20Dec08
ぐったりと座り込んでいる心路は、顔を上げて直規を見て、ああ、と言った。直規は、
好きなだけやれよ、と、粉の入ったセロファンを心路の方へ放り投げた。そしてそのまま、
恍惚とした表情でベッドの上に倒れ込む。心路は、放り投げられたヘロインを手許へ引き
寄せた。智は、二人にどう声をかけるべきか迷っていたが、そんなことを気にかけるより
も今吸ったヘロインが効き始めてきて、既にそれどころではなくなっていた。...
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25Dec08
黙って智は首を左右に振った。心路は、もう一度煙草の煙を吸い込んだ。
「俺と直規君は幼馴染みでさ。子供の頃は一緒のアパートに住んでたんだよ。二人とも家
が貧乏で片親だったから、家に一人でいることが多くって、いっつも一緒に遊んでたんだ。
二人ともやんちゃだったから小さい頃から二人で悪さばっかりしてたんだけど、大きくな
ってもそのままで、毎日毎日、喧嘩に明け暮れるような日々を過ごしてた。全然関係ない...
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30Dec08
「ああ、本当の話だよ。しかも高校は中退してるから、自力で大検とって東京の有名な私
立大に入ったんだ。直規くん、頭いいんだぜ。高校も俺なんかとは違って、結構な進学校
へ行ってたしさ。でも、昔から札付きのワルがそんな高校や大学、合うわけないじゃない?
一年が終わるか終わらないかの内に、学校内で喧嘩して、警察沙汰になって退学処分さ。
大学だって同じことだ。入って何ヶ月も経たない内に、すぐ辞めた。奨学金...
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