05Nov08
「でもな、智。もう、俺らが智を助けた時点で、この問題は智だけの問題ではなくなって
るんだ。だって、実際こいつらボロボロにしたのは、俺達なんだから。だから今はもう、
俺達の問題になってる。こいつらが目ぇ覚ました後、警察行ったりだとかしないように、
徹底的に恐怖心を叩き込む。もちろん、こいつらの住所ももう控えてあるぜ。パスポート
ナンバーまでな。絶対に俺達には逆らわせない。日本に帰った後もな。大丈夫だ...
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10Nov08
「そうですか。じゃあ、心配しなくても大丈夫なんですね? 私もちょっとあの二人は持
て余していたから……。もう会うこともないんですかね」
安代がそう言った。智は曖昧にそれに頷いた。
「安代ちゃん達は、明日、アーグラーに行くんだよね。いつ出るの? 朝?」
「ええ、そうです。それで、その日の内にタージ・マハルも見てしまおうかなって。私達、
あんまり時間がないから観光なんかはさっさと済ませておきたいんで...
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15Nov08
「サーンチーには、アショカ王の建てた有名なストゥーパがあるじゃないですか。私はあ
れが見たいんですよ」
サーンチーのストゥーパがそこまで有名なものだとは思わなかったが、その毅然とした
安代の物言いに、智はあっさり敗北してしまった。しかし奈々は、なおも安代に追い縋っ
た。
「私、ストゥーパなんて見なくていいよう。それより、カジュラホに行ったらもう戻って
来よ。飛行機に遅れちゃったら大変でしょ」
「...
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20Nov08
分からなかった。自分の気持ちを冷静に判断する余裕が智にはなかった。ただ、奈々が
明日去ってしまうという事実が智を激しく締め付ける。それが愛なのか、恋なのか分から
ない。ただ、自分に向けられている、奈々の強い思いがそうさせているだけなのかも知れ
ない。
去っていったばかりの奈々を想う。もうベッドに入る頃だろうか。シャワーを浴びて汗
を流して、服を着替えて、明日に備えて眠りにつく頃だろうか。ああ、そ...
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25Nov08
「それより、そうだよ、思い出した。二人ともひどいじゃん。プシュカルにいた時さ、突
然女の子と消えちゃってびっくりしたよ。俺、独りぼっちで残されてさ。寂しかったんだ
ぜ、あの後。あれからあの子とはどうなったのさ」
智がそう言うと、一瞬にして、直規の目付きが変わった。智の体は反射的に緊張した。
それは、以前、直規が急に怒りだした時のあの目付きと一緒だった。心路もハッとした表
情で直規を見つめ、場の空...
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30Nov08
「チャイナホワイト、だよ」
「チャイナホワイト?」
「ああ。要するにヘロインのことさ。正確には合成ヘロインのことらしいんだけど、まあ、
似たようなもんだよ。百パーセントピュアなヘロインなんて手に入りっこないから。どの
みち混ぜもんだとか、合成だとか、何かしら手は加えられているんだしさ。でも、モノに
よってはヘロインよりもずっと強烈なやつもあるらしいぜ。気をつけないとな」
「ふうん。でも、貰った...
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