05Oct08
ゲンの拳が、智の頬骨にめり込む。ゲンの拳の圧力と、リノリウムの固い床で頭を挟ま
れ、視界が揺れるのを智は感じた。痛さはあまり感じない。ただ、衝撃が、脳に直接響い
てくる。何回かそれが繰り返されると、しだいに意識が遠のいていった。奈々の甲高い悲
鳴が頭の中で反響しながら響いている……。
もう意識を保つ努力をするのを放棄する寸前に、智は衝撃から解放された。ぼやける視
界でゲンを見ると、ゲンは、腹を押...
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10Oct08
「何だよ、こんな奴」
直規は、ぼそっとそう言うと、うずくまっているヤスの腹部を大きく蹴り上げた。ヤス
の体は、絞り出されるような呻き声と共に二つに折れ、仰向けに転がった。ヤスは泣いて
いるようだった。直規は、チッと舌打ちすると、ヤスに唾を吐きかけた。そして智に近寄
って、智の顔を覗き込んだ。
「サトシ、大丈夫かよ?」
久しぶりに見る直規の顔は、大分日に焼けているようだった。それにスキンヘッドに...
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15Oct08
奈々はまだ泣いていた。奈々の髪からは女の匂いが漂ってくる。女と擦れ違った時に残
される、あの香りだ。シャンプーというか、化粧品というか、香水というかそんなのが混
ざったような、さわやかな香りだ。智は、そっと奈々の髪を撫でた。
しばらくすると奈々は、ようやく落ち着きを取り戻し智から体を離した。奈々の眼鏡は
涙で曇っており、それに気が付くと奈々は、眼鏡を外してTシャツの裾で恥ずかしそうに
濡れたレン...
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20Oct08
安代は、挨拶もそこそこに部屋の中を覗き込むと、すぐさま奈々の姿をそこに見つけた。
「ああ、やっぱり、奈々、探したんだからね!」
奈々は、母親に叱られている子供のような表情で安代を見ている。安代は、すいません
智さん、いきなりお邪魔しちゃって、と言ったところで智の顔を見て言葉を失った。
「どうしたんですか、その顔……」
口に手を当てて安代は呆然と智の顔を眺めている。
「ああ、ちょっと、ね……」
...
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25Oct08
扉を閉めると智はベッドの上で狂おしくもんどり打った。
――― あと少しだったのに! ―――
そして、厳格な保護者のような安代を呪った。あそこで彼女さえ来なければ、あのまま
俺は…… 頭の中で、奈々の服を一枚ずつ剥がしていく。ああ、安代さえ来なければ…… そ
して曝け出された、奈々の乳房を、太腿を、ゆっくりと、一つ一つ丹念に味わっていく…
…… あいつさえ来なければ……… 奈々は、身を...
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30Oct08
「い、いったい、それは何してるの? 俺と別れてから今まで、ずっとそうしてたの?」
直規は、リムカの瓶を置いてそれに答えた。
「ああ、こいつら二度と俺達に逆らわないようにな、徹底的に恐怖心を与えてやるんだよ。
ここに連れてきて、早速"カミ"喰わせてやった。随分嫌がったけど、ぶん殴ったらあっ
さり言うこと聞いたよ。そしたら二人ともどうやら、カミ喰うの初めてだったみたいで、
効いてきたらガタガタガタガ...
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