05May08
「だからって、突然押し倒したりしていい訳ないじゃないですか! 私、いいとも、嫌だ
とも何にも言ってなかったんですよ。ただ"溜まってる"っていうだけでそんなことして
もいいだなんて理屈、ある訳ないじゃないですか!」
幸恵の勢いに圧倒されて建はじりじりと後退した。
「幸恵ちゃん"溜まってる"って……。でも、ごめんごめん。そうだよな。全くその通り
だよ。相手の意志も何もなくそんなことしていい訳ないよな...
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10May08
幸恵は、そう言うと、自分のほっぺたの辺りの肉を軽くつまんだ。
「痩せなくたっていいよ。日本ではどうか知らないけど、こっちでは女は太ってる方が魅
力的なものなんだし。俺もそう思うね。日本の女の子はヒステリックに痩せようとし過ぎ
だよ。あんなのメディアが商品売るためにみんなの不安を煽って過剰に反応させようとし
ているだけで、実際の魅力とは何の関係もないものさ。やっぱり女の子はちょっとぽっち
ゃりしてた...
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15May08
建は、必死に名前を思い出そうとして顔をしかめた。
「君子さんじゃないですか?」
智がそう言うと、建は、すっきりしたような晴れやかな顔になって再び話し始めた。
「ああ、そうそう、君子ちゃんだ。思い出した。谷部君は、一緒にいる女の子が見る度に
違うから名前が覚えられないんだよ。そう、その二人がバラナシにいる筈だから、もし出
会ったら俺達のこと聞いてみなよ。きっと色々良くしてくれると思うよ。谷部君、バ...
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20May08
三人は、夜のメインバザールを歩いている。埃っぽく湿った夜風が人々の間を通り過ぎ
ていく。喧噪はなおも夜空にこだまする。
「夜になっても、やっぱり騒がしいんですね」
微笑みを浮かべながら幸恵がそう言った。
「そうなんだよ。もう、うんざりするよ、全く」
建は、ウェーブのかかった長い髪を鬱陶しそうに掻き上げた。
「でも、私、何だかわくわくしてるんです。お祭りみたいな、そんな感じで」
幸恵が建を見て...
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25May08
二人は、智の部屋へ戻ってボンをした。部屋はなおも蒸し暑く、扇風機は頼りなくフラ
フラと首を振りながら、室内の湿った空気を虚しく掻き回す。智は、ミネラルウォーター
のペットボトルを手に取ると、蓋を開けてゴクゴクと喉を鳴らしながら体に流し込んだ。
そして、一息ついてからぽつりとこう言った。
「建さんも明後日には行ってしまうんですよね……」
智は、ベッドの上に片肘をついて横たわっている建を見た。
「あ...
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30May08
「価値があるかどうかは分からないが、責任はあると思うぜ」
「責任、ですか」
「ああ、責任。周りの親しい人達に対する責任。その人達を悲しませないためにも、お前
は生きて行かなきゃならない。生きて行くという責任があるんだよ」
智は少し驚きながら言った。
「ということは、僕は、その人達のために生きているということですか?」
「まあ、簡単に言ってしまえばそういうことなんじゃないのかな。智、知ってるか? ...
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