10Feb08
智は、からかうようにそう言って建を見た。建は、肩をすくめて煙草に火をつけた。
「ハリ・ドワールに行こうと思ってる」
「ハリ・ドワール?」
「ああ、ヒンドゥーの聖地となっている町の名前な。ちょうど今年はクンバ・メーラとい
うお祭りの年なんだ。ハリ・ドワールにインド中から、物凄い数のサドゥーが集まって来
るんだぜ。何千、何万というな。面白そうだろ?」
「何千、何万のサドゥーですか。それは何だか凄そうで...
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15Feb08
ベッドに体を横たえた。やはり少し寒気を感じるようだ。体の節々が鈍く痛む。
智は、今までの旅のことを思った。そして出会い、別れていった旅人達のことを思う。
たくさんの人達がいた。長く一緒にいた人達や、ほんの短い間だった人達。共に色んなこ
とをした。食事をしたり、町を歩いたり。思い出の中の彼らは、何故かみんな笑っていた。
智は、楽しかったことばかりを思い出した。でも、やはりそれらは皆終わったことな...
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20Feb08
いや、理由はあるのではないか? 河が流れるのには、何らかの意味があるのではない
か? それと同じく、人が生きるのにも理由や意味が……。もしそうだとしたら、その意
味は? 何故俺は生きて、ここに存在する? インドを旅する理由は? 皆に出会って、
別れる理由は? 人が生きて、死んでいく理由は? 生きている内に笑ったり、泣いたり、
喜んだり、悲しんだりする理由は? それらに意味や理由があるからこそ、死や...
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25Feb08
智は、重たい体を引きずりながら、今まで撮り貯めたフィルムを現像するために思い切
って外へ出た。いつも半年分ぐらいまとめて出すようにしていたので、三十六枚撮りのフ
ィルムが猶に十本以上は貯まっている。写真を現像するのは楽しみだった。写真を見てい
ると、忘れていたような旅の光景が次々と現れて来るので、ついついそれに没頭してしま
う。それは、自分が旅をしているということを、実感として再確認できる瞬間だっ...
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