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ライブラリ-2007年12月

05Dec07

解放

 円錐形をした小さな石をチラムの中に入れると、谷部は、その上にチャラスの混ざった 煙草の葉を詰め込んでいった。それをチラムの先端すれすれまで詰め込んでしまうと、ほ ら、と言って智に手渡した。 「僕からでいいんですか?」  突然手渡されたチラムに少し当惑しながら智はそう言った。 「当然だろ。久々に再会したんだし、ゲストからやるもんなんだよ、こういうものは」  谷部は、何を言っているんだと言わんばかり...

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10Dec07

マントラ

ジョージは、皆とは違ったやり方で片手でチラムを掴んだ。親指と人差し指、中指の三 本でチラムの口を持ち、中指と薬指の間でチラムの胴を挟む。中身が落ちないように自然 と顔は上向きになる。そして空いた手で器用にマッチを擦ると、自分でチラムに火をつけ た。途切れるような吸気音が何回か続き、そしてその度に、白い煙が筋のようになって勢 いよく何度も吐き出された。しばらくそうしていると、しまいには煙が出なくなっ...

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15Dec07

パキスタン

 谷部は、驚いてジョージを見返した。ジョージは、笑って谷部の頬を軽く叩いた。谷部 は、頭をゆっくりと左右に振りながら右の拳をジョージに向かって突き付けた。ジョージ はその拳に自分の拳を軽くぶつけた。 「俺、明日デリーを出るんだ。パキスタンへ行くんだよ。ようやくビザの手続きも終わっ たから。朝早くアムリトサル行きのバスに乗るんだ」 「ジョージ、マジかよ? 知らなかったぜ。じゃあ今日でお別れなのか?」...

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20Dec07

夜景

ジョージがいなくなり、部屋の中は少し静かになったようだった。大勢でいても誰か一 人がいなくなると、やっぱりどこか寂しい気分になる。智は、ジョージにまた会えるとい いな、と思った。今日初めて会ったばかりだったが、何となくそう思わせるような男だっ た。   君子を除く三人は、ゲストハウスの屋上へ上がった。部屋の中が、人々の熱気とチャラ スの煙とであまりにも不快になったため、場所を移すことになったのだ。...

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25Dec07

通り道

 一通りチラムを回し終えると、三人ともリラックスした体勢で、何をするともなくぼん やりと時を過ごしていた。谷部は寝転がって星空を眺めている。スモッグのせいか、そん なにはっきりと星が見える訳ではないが、霞みながらもそれらは明るく輝いている。 「星が、きれいだな」  独り言のように谷部が言った。 「そうですか? 何だか排ガスで曇ってるようだし、そんなにきれいでもないですよ」  それに水を差すように、...

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30Dec07

後悔

「何だよ、しみじみと。日本が恋しいか?」 「いや、別にそう言う訳でもないんですけど、何となく日本に帰るっていう人の話を聞く と羨ましいというか、何というか……。それに今日、建さんと浮世絵見に行ったじゃない ですか。それも手伝って、余計に……」 「ハハハ、何だよ、それ。じゃあ何で日本に帰らないんだ?」  建は笑って智にそう尋ねた。智は、俯いて、コンクリートの隙間から生えている雑草の 葉をいじりながら...

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