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ライブラリ-2007年05月

02May07

満天の星空

彼の貸してくれた毛布にくるまって砂の上に寝転ぶと、星空が空一面に広がっていた。 まさに降り注がんばかりに夜空に輝いていた。智は、昔、子供の頃に行ったサマーキャンプで見た星空を思い出した。あの時もこんな景色を見て同じようなことを感じたように思 う。その光景が鮮烈に蘇り、ちょっと懐かしい気分になった。こんな星空は、もう、何年もの間見ていなかった。見ていたこと自体、忘れてしまっていた。忘れてしまっていた...

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05May07

待ち続け

 翌日、ジャイサルメールに戻った智は三百ルピーを老人に手渡した。ここへ戻って来る間も延々と金の催促は続いたが、それとは関係なく自然にその金を支払った。それにはむ しろ感謝の気持ちが込められていた。何かかけがえのないものをその老人から教わったような気がするからだ。  宿に帰ると従業員がニコニコした顔で近づいてきて、ジャパニ、キャメルサファリはどうだった?、素晴らしかっただろう?、とうるさくまくしたて...

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07May07

コントロール

一体どれぐらいそうしていただろう。もうすっかり日は暮れていた。あんまり部屋が暗いので智は灯りをつけた。一本の蛍光灯だけで照らされる狭い部屋は青白く、壁の染みなどが不吉にぼやけて見える。結局、理見は訪ねて来なかった。  何だか智は、自分のことが間抜けみたいに思えてきた。自分が何をしているのか、一体何をどうしたいのかが良く分からない。ただ、理見に会いたい。とても会いたい。何故? 好 きだから? 彼女の...

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10May07

プネー

翌朝、誰かが部屋の扉をノックする音で目が覚めた。余程深い眠りに落ちていたらしく、その音を聞きながらもかなり長い間智は対応できないでいた。それが夢なのか現実なのか 判断できなかったため、体の欲求に任せるがまま眠り続けていたのだ。しかし、放っておいてもその音は鳴り止むことはなく、断続的に続くので智はとうとうベッドから体を起こ した。そして不機嫌に返事をしながら扉を開けると、そこには理見が立っていた。智...

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12May07

二人で

智は、理見のそんな質問にはあまり魅力を感じられず、少し投げやりな気分になった。もっと、理見に対する自分の気持ちを刺激してくれるようなやりとりを期待していた。 「最悪だったよ。ラクダに乗ってただひたすら砂漠を行くだけ。野宿だし、ラクダ使いのじいさんは金のことばかり言ってきて鬱陶しいし……。行かない方がいいよ、あんなの」  苦笑いしながら智はそう言った。理見は、智の話を聞いているのかいないのか、黙って...

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15May07

スイッチが切り替わる

「そう、いいキノコになると本当凄いからやってみなよ。その時なんて、私、凄かったんだから。どんどんどんどん若返っていって、子供になって赤ちゃんになって、最後にはお 母さんのお腹の中に戻っていったの。それでそこから更に、もっともっと小さくなって、魚みたいになって、そしてしまいには眩い光の世界が突然現われて、その中に吸い込まれ ていったの。そうしたら自分の中の何かがスイッチが切り替わるみたいに急に切り替...

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17May07

シガレットペーパー

そう言うと理見は、ポケットからチャラスの入ったパケットと、煙草とライターを取り出した。更に何か探し物をするようにポケットを探っていたが、どうやら見つからなかっ たらしく、智に、ペーパー持ってる?、と尋ねた。智は、ああ、持ってるよ、と言ってバックパックのポケットからシガレットペーパーを取り出した。それを受け取ると、理見は、 チャラスをパケットから取り出してライターで軽く焙った。パラパラと指先で素早く...

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20May07

マナリーのチャラス

「サトシ、サトシ」  気が付くと理見が呼んでいた。 「何、もうキマッちゃったの? ちょっと早すぎじゃない?」 「ああ、ごめん、ちょっと考え事してた」  そう言って智は理見にジョイントを手渡した。理見はそれを受け取ると、深々と煙を吸い込んだ。 「どう、これ、いいでしょう? マナリーのチャラスなの。ちょっと前に手に入れたんだ。 ちょうど去年の秋に収穫されたフレッシュクリームを山ほど持ってるイスラエリー...

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22May07

「理見ちゃん、ヘロインってやったことある?」 「ヘロイン? そんなに何回もやったことはないけど、一応あるわよ。チベットでヒッチしてる途中にエベレストのベースキャンプでやったわ。一緒にいた人が持っててね。でも、 確かに凄かったけどあんまり好きじゃないかな。あの感じ。ぐったりするし……。智はやったことあるの?」 「俺、プシュカルにいたときに、たまたまゴアで会った奴らと再会して、そのとき偶然手に入れたん...

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25May07

清潔な世界

智は、手を伸ばして香を一本拾い上げるとそれに火をつけた。細い煙が天井に向かって伸びていく。静かな喧噪が窓の外から聞こえてくる。穏やかな表情で、理見は、うつ伏せ にベッドに横になっている。智は、理見を抱きたいと思った。緊張が解け、無防備な理見がそこに横たわっている。今なら理見が自分の思い通りになるような気がした。直感的に 智はそう思った。しかし、今の智にはそれを行動に移すだけの意志の力が無かった。動...

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27May07

アフリカ

「プネーの後は? どこ行くか決まってる?」 「そうね、全然分かんないけどマナリーに行くことは確かよ。もうすぐインドは暑くなるから山の方へ行って快適に暮らすつもり」 「マナリーか、俺も行こうとは思ってるんだけど、この調子でいくと行けるかどうか分かんないな……」 「どうして? 行けばいいじゃん、いい所よ」 「でも、ビザが五月で切れちゃうんだ。俺、パキスタン行くつもりだからそれまでにデリーでビザ取ったり...

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