02Dec02
インドの山奥で部屋をシェアしていた奴が、いつもカーペンターズを聴いていた。
オレは、知っての通りのロックン・ローラーで、そんな甘ったるい曲聴けるかよ、って、本人には言えないけど内心いつもそう思っていた。
そいつは、 そこで出会ったタトゥー職人に、キューバ革命の英雄、チェ・ゲバラ、のタトゥーを入れてもらっていたような奴で、お前がカーペンターズって柄かよ、って、これまた内心いつもそう思っていた。
先...
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04Dec02
自分の歩いている前方に物乞いが座っている。
もう50歳を越えているように見えるが、おそらくもっと若いだろう。
左腕が折れていて、腕が皮膚だけでつながり、ぶらりとぶら下がった状態になっている。
彼はすでに私を見つけて、じっと見ている。
私が近づくと手を差し出してバクシーシ(施し)を求める。
私は決して目線を合わすことなく通りすぎる。
こんな事はインドに入ってから数えきれないほどある。
私はその瞬間...
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06Dec02
匂い。嗅覚。人間の、嗅覚、感覚、知覚、感受性。
ぼくは、不思議に思う。それらを、とても不思議に思う。
どうして目の前にある現実は一定ではないんだろう?
どうしてぼくの見ているものは、あなたの見ているものと同じではないんだろう?
どうして今確かにいるこの場所が、とつぜん違う所になったりしてしまうんだろう?
よくあるでしょ。アジアン雑貨屋さん。
たいてい、雰囲気を出すために、お香を焚いている。
独特...
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11Dec02
ラサを出てから、2日かけてラツェという街まではバスで行ったが、そこから西チベットは旅して、ネパールに抜けるまでの移動は、全てトラックのヒッチハイクだった。
数えてみると10台のトラックをヒッチしたことになる。
西チベットを、トラックをヒッチして移動することは、決して楽なものでなかったが、ヒッチでしかできないような体験も多かったし、出会えない風景も多かったように思う。
トラックの乗り心地と、移動の...
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24Dec02
旅というものは、いかに自分の行く地域についての情報をあらかじめ集めておくかで、その旅の内容も変わってくる。
情報がないと、闇両替でレートがわからずボラれてしまったり、たいして良くない高いゲストハウスに泊まってしまったり、見所を知らずに通り過ぎてしまったりする。
基本的には一冊のガイドブックも持っていないバックパッカーというのはいないだろう。
なかにはガイドブックを一切持たない人もいるかもしれない...
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25Dec02
オレの友達に、映画好きな奴がいた。
今日、オレは「プレッジ」という映画を観て来た。
定年を迎える刑事が、ある殺人事件を追っていく話だ。
とても切なく、やりきれない話だった。
誰のせいでもないのに、みんなが不幸になっていく話。
現実と似ている。
現実は、誰のせいでもないのに、みんなを不幸にしていく。
強すぎる愛情が、情熱が、そういうのを持っているその人自身を、どんどん不幸にさせていく。
オレは、...
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28Dec02
パキスタンの北部にフンザという場所がある。
世界最後の桃源郷と言われている、パキスタンの一大観光地だ。
私もそこにはいつか行ってみたいとは思っていたものの、今回はパスしようかと思っていた。
季節が悪かったからである。
私が行くとすれば、冬の真っ只中になる。
そこは春には杏の花が咲き、夏には数多くのフルーツが実り、秋には紅葉が美しい場所である。
しかし今は冬。
なのでまた、別の機会にとっておいてもい...
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31Dec02
パキスタンとイランの国境の街は荒野のなかにぽつんと存在していて、街と呼ぶにはあまりに小さく、人も少なかった。
そこで生活するというよりは、ただ国境があるから、そこを通る旅行者や商人が通過するだけの街というように映った。
私はどうやら街の外れでバスを降ろされたらしく、そこから人の道を聞き、国境まで30分ほど歩くはめになった。
道を聞くと言っても、視界を遮るような建物は何もないから、教えてもらったイ...
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